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野蛮人との生活


書斎の本棚(小)。

「野蛮人との生活」シャーリイ・ジャクスン 深町真理子訳 ハヤカワ文庫 昭和49年5月31日 330円 初版

古書で、100円で購入。どこの店だったか忘れたが、神保町だったと思う。確か、ある店で1000円で売っていて、「高いなあ」と思って見送り、その直後に別の店で100円で出ているのを見て買ったのである。(現在では、結構入手しにくい本になっているように思う)

シャーリー・ジャクスンと言えば、幻想かホラーの書き手である。しかし、本書はどこに分類して良いか分からず、とりあえず「未分類」にしてしまった。

本書は、作者の実生活に題材をとった、ユーモラスな小説群である。
いや、捉えようによっては、「小説」ではなく「エッセイ」だと思う人もいるかもしれない。一緒にしていいものかどうか分からないが、椎名誠のスーパーエッセイみたいな手法とでも言ったらいいだろうか。

本書は、何作かに分かれたストーリーになっている。いつもなら、タイトルを列記するところなのだが、今回は、「どう捉えていいのか分からん」ので、とりあえずタイトル列記はやめておく。

本書の内容は、語り手である主婦作家が、ふとしたことから田舎住まいをはじめ、ハウスキーピングや子育てに苦労しつつ、するどい人間観察で毎日の出来事を切り取って語っていく、というものである。
物語のネタは、おそらくだが、ほとんど実話なのだと思う。実話を脚色したり、作家ジャクスンならではの切り口見つけて、そこを拡大したりして描いているのだと思う。

この作品群は、全体的にはユーモラスである。だが、強烈な批評精神や皮肉が混入しているので、なにやら「手厳しい感」がスゴイのである。同じ題材を、別の作家にわたしたら、ものすごくウェットでハートフルな作品もできそうなのに、ジャクスンは、エアコンみたいに「クール&ドライ」なのである。

一冊読んで、心から思うことは、
「世の中の人は、自分以外の人の言葉なんかあんまし聞いてない」
「人は、たとえ家族であっても、こっちの思うようになんかならない」
ということである。
これを突き詰めていくと、「人生は、諦めが肝心」みたいな領域に入っていってしまうのだろうが、ジャクスンはその領域の人ではないはずだ。あきらめの領域には入らずに、クールにドライに観察している人なのである。だからこそ、テキビシイのである。

私は、ジャクスンのホラーが好きなので、本当なら、本書は読まなくてもいい派であった。しかし、読んだら読んだで、これもジャクスンの世界なので、買って良かったと思っている。
ジャクスンのホラー作品の主人公たちにも、
「こっちの言うこと全然聞いてくれない」
「なんでそんなことばっかりするのよ」
と言っている人が大勢いるように思う。

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